テレキャスター自作(3) ネック製作開始 トラスロッドの仕込みまで

テレキャスター自作1

 

ネック製作開始

 

先日「府中家具」さんから購入したウォルナットを使用してテレキャスター用ネックを製作していきます。

まずボディ製作の時と同様にテンプレートを木材に貼り付け加工していきます。

テンプレートの製作に関してはボディ用テンプレート製作の記事を参考にして下さい↓

ギター自作の準備 ボディ用テンプレート(冶具)の作り方
ギターなどの各用途のテンプレート製作では非常に重宝するので覚えておくと良いと思います。なおテンプレートの強度を求めるならアクリル板などを使用しますが、MDFのように加工性は良くないので後で寸法や細かい部分を修正する時などはしづらいです。型元になるギターの精度や寸法が間違っていると出来上がるテンプレートもそのまま間違った物ができてしまうの注意です!

 

まずはバンドソーや糸鋸などでテンプレートに沿ってカットしていきます。

※サイドのカットした木材は後でトラスロッドを仕込む時の埋め木として利用するので保管しておいて下さい。

 

カットが終わった後の画像です↓

この時にテンプレートに対してなるべく木材を残さず加工しておくと後々の加工も楽です。機械では加工しづらい曲線部などは鉄やすりなどを使いましょう!

 

次にトリマーでテンプレートに沿って加工していきます。できればルーターテーブルを利用した加工が望ましいです。

 

次にペグ穴をあけていきます。

僕の場合はテンプレートにペグ穴のガイド穴をあけているのでガイドに沿ってあけています。ドリルの径は8.7mmを使用しています。(クルーソンタイプ)

 

ガイドなしで穴をあける場合は穴位置を正確にヘッドに書き千枚通しなどで目打ちします。

そのあと木工用ドリルなどで穴をあけます。穴あけの際はまず表側から寸止めで穴をあけます。そのあと裏側から穴を貫通させるときれいに仕上がります。

クルーソンタイプの場合は各ペグとの中心の間隔を約24mmで穴あけしていきます。ここの間隔の精度が悪いとペグが取り付けできなくなったりするので慎重に穴あけしましょう。

 

無事に穴があきました。

 

次にネック裏の厚みを調整します。(加工前は21mmありました。)

今回仕上がりの厚みは1F約21.5mm、12F約23.5mmで製作していきます。

まず上記の各数値から6mm引きます。6mmは一般的な指板の厚みです。

そうすると1Fが15.5mm、12Fが17.5mmとなります。この数値がネックが完成した時の指板下の厚みです。これに対してプラス2mm前後ぐらいの厚みにこの段階では仮加工します。

およそ1F約17.5mm、12F約19.5mmとなります。木材に各フレット位置の厚みを書いたら直線でつなぎます↓

 

次に直線部分まで厚みを揃えていきます。厚みが多い場合はバンドーなどで大まかにカットして下さい。そのあとにベルトサンダーなどで揃えていきます。

ベルトサンダーがない場合は鉄やすりやカンナなどで加工します。

 

厚みを揃えた後です↓

ネック裏の直線がしっかりでているか確認をして下さい。極端に直線が崩れてなければある程度の直線でも問題はありません

 

厚みを調整した後はネック裏のグリップ加工をしていきます。この段階でのグリップ加工は仮加工となりますのである程度荒くても問題ありません。

まずネック裏のセンターラインを引きます。

 

次にセンターラインが真ん中に来るよう幅12mm前後のマスキングテープを貼ります。(マスキングテープを貼るのは削る部分の視認性をよくする為です。)グリップ加工時にマスキングテープの部分は削らないようにして下さい。

 

指板面の両サイドにもマスキングテープを貼ります。(幅は5mm前後)

 

それではグリップ加工をしていきます。加工には南京かんなを使用していきます。

僕が使用している南京かんなは刃幅30mm位あるのですが刃幅が大きくなると価格が一気に上がります。下記は刃幅15mmで一度に削れる量は少ないですが価格は手頃です。

南京かんなを使用するのが苦手な人はよく削れる鋸やすりなどを使用して下さい。

 

仮加工が終わるとこんな感じです↓

 

既存のギターから型をとる場合や形状のチェックには型取りゲージがあると便利です。

グリップ形状はこんな感じです↓

 

次はヘッドの落とし込み加工をします。

ヘッドの周りにある板はトリマーで加工する時の足場として両サイドに設置しています。

加工する時はトリマーが足場から落ちないよう慎重に行います(落ちるのが不安な人はトリマーのベースプレート底面に板を貼るなどの工夫をしておくのが無難です)。

※この部分の加工はネックを切り出す前に行ってもよいです。

 

落とし込み加工が終わりました。

僕の場合は6mm位掘っています。

 

次は指板接着面側の直線を整えていきます。

今回は直線の崩れが少ないので紙やすりを貼り付けた当て板を使用して微調整していきます。

※反りがひどい場合は紙やすりの前に鉋で荒加工します。

 

直線がでました↓

 

直線がでたらトラスロッドを仕込む位置を決めます。

僕の場合はトラスロッドのT字になっている部分が0フレット(ナット)よりも少し手前に来る位置に仕込みます。

下の画像がちょうど位置決めしたところです。ただよく見るとトラスロッドの先端部分がネックからはみ出ているのが分かると思います。今回は先端を少し切断していきます。(フェンダー系であれば450mm前後の長さがちょうどよいです)

 

切断はボルトクリッパーがあると楽にできます。ただし先端部分は少し荒れるので切断後は鉄やすりなどで整えましょう。

 

切断したらネジ切り部が短くなるのでダイスを使用して新しいネジを切っていきます。画像では「M5」でネジ切りをしています。ネジ部の長さは20mm位あればいいと思います。

ギターのリペアや製作でたまにタップやダイスが必要な時があります。持っていない方はセットで揃えておくと重宝しますよ。その際は切削オイルも忘れずに。↓

 

ネジ切りが終わりました。

トラスロッドナットとロッド先端の位置関係は画像ぐらいがちょうど良いと思います。

ちなみにロッド先端がナットに入りすぎる位置で仕込んでしまうとネック調整の効き幅が少なくなってしまいますので注意。

 

トラスロッドの位置決めや長さの調整が終わったら仕込む為の溝を掘っていきます。

まず溝を掘る為にセンターラインをネックに罫書きます。次にセンターラインから5mmの並行の線を両サイドに罫書きます。この線はテンプレートを取り付ける時の目安線です。

中央のセンターラインに対して垂直に書いている線は湾曲した溝を掘った時に一番深くなる部分です。大体7、8フレットが一般的です(もしくはナット部からネックエンドの中間ぐらい)

 

今回使用するトラスロッドは湾曲させてネックに仕込むため下の画像のようなテンプレートを使用します。

こちらのテンプレートは厚みが5.5mmのMDFで作っています。重量のあるトリマーを使用する場合はメイプルなどの硬い木材で作った方がいいかもしれません。

特に製作の方法は記載しませんが他の記事で紹介しているテンプレート製作方法を応用して頂ければ簡単に作れると思います。

ちなみに中央の直線部分は10mm幅です。長さは使用するトラスロッドの長さに対応できる寸法で作っています。

 

裏側の両端には下駄をはかせています(接着)。この下駄は湾曲形状を作る為のポイントになります。

下駄の厚みは4~5mm位がいいと思います。画像の物は4.5mmです。

 

取り付けるとこんな感じです。

※取り付けはビスでしっかりと固定しています。ヘッド側と中央のビスはあまり長いものを使用しないで下さい。ネック加工時にビス穴が貫通する為。

 

このように両サイドに下駄をはかせたテンプレートをビスで固定する事で自然なカーブを作ることができます↓

 

このテンプレートの上からトリマーで加工していきます↓

今回のネック厚の場合、中央部の一番深いところで13mm掘っていきます。(完成時のネック厚は1F21.5mm、12F23.5mmを予定)

 

この加工時にはトリマーに「テンプレートガイド」を取り付けます。このテンプレートガイドはテンプレートに沿って加工をしていきますがトリマービットとガイドの位置の関係上テンプレートよりも内側に加工されるのが特徴です。(テンプレートガイドはトリマーを購入した時に付属している場合が多いです。)

それを考慮した上で溝加工のテンプレートは作っています。テンプレートの中央の幅が10mmなのはトリマーのテンプレートガイドの幅が10mmだからです。

 

テンプレートガイドの先端が溝加工テンプレートにピッタリはまるようになっています↓

ほとんど隙間やがたつきがないのが理想です。トリマーのビットはトラスロッドの径に合わせます。(今回は5mm)

 

溝加工が終わった後です(直線部分)↓

 

次にT字部分と先端のトラスナット用ワッシャー(平板タイプ)が入る溝を掘ります。

僕の場合はこの部分はテンプレートを使わずトリマーのフリーハンド加工で行っています。フリーハンド加工が不安な人はテンプレートを作って下さい。

 

次はトラスロッドナットが入る穴をボール盤であけていきます。

穴の部分とトラスロッドの先端部分がずれると今までの加工が全て無駄になります。最悪ネックの作り直しになるので位置は慎重に確認して穴あけしていきます。

 

無事に穴があいたらトラスロッドを仮仕込みしてナットの収まり具合を確認しておきます。

 

次はトラスロッドを仕込む為の埋め木(蓋)を作ります。

埋め木はネック材を切り出した時の物を使用しています。埋め木は必ずしもネックと同材である必要はなくメイプルなどがあればそれでも大丈夫です。ただし柔らかい木材を埋め木に使用するのは強度的にお勧めしません(バスウッドなど)。

 

トラスロッドを仕込む時に埋め木の形状は「掘ったトラスロッドの溝と同じカーブ」を描く用に加工します。

方法はトラスロッドの溝堀り用テンプレートを取り付けた状態で埋め木材をテンプレートの横にあてがいます。

※埋め木の上下はなるべく縦に木目が通っている側にします。こうする事で縦方向の反り(逆ぞり、順ぞり)に多少強くなります。

 

あてがったら手で押さえながらテンプレートのカーブに沿って罫書いていきます。この時にテンプレートの中心(一番深い部分)も埋め木に罫書いておいて下さい。

 

こんな感じに罫書ければOKです↓

 

次に先ほど書いたカーブに沿って埋め木をカットしていきます。

この時に厚みもある程度カットして調整しておきます。今回のトラスロッドの溝は約5mm幅なのでこの段階では余裕をもって6mmぐらいにカットしています。画像ではバンドソーを使用していますが、これぐらいだったら糸のこ盤とかでもサクサクいけると思います。

 

カットした後がこちら↓

 

次は罫書いた実線に沿って厚みとカーブを完璧に仕上げていきます。使用しているのはベルトディスクサンダーです。持っていない方は鉄やすりや紙やすりで仕上げていきましょう。

 

厚みを仕上げる時は何回もトラスロッドの溝に入るかどうか確認しながら慎重にやっていきます。溝に対して埋め木がスカスカになってしまうとトラスロッドの効きが悪くなるので注意です。

 

ピッタリはまりました↓

 

いよいよトラスロッドを仕込みます。

仕込む前にトラスロッド全体にはロウを塗っておきます。これは接着材がトラスロッドに付着して内部で固まらないようにする為です。

内部でトラスロッドが固まって動かなくなるとネック調整ができなくなる可能性があるので注意。

 

次にロウを塗ったトラスロッドを溝に入れます。ナットもこの時に軽く締め込みます。締め込み具合はワッシャーにちょっと触れるぐらいでいいです。

 

それでは埋め木に接着剤を塗っていきます。

使用しているのは家具や楽器製作で定番のタイトボンドです。

塗るときは両サイドに塗ります。トラスロッドに触れる底面には塗りません。

 

接着しました↓

接着する時はクランプを5~7本ほど使用しています。埋め木を加工する際に溝に対して少しゆるく加工してしまった場合は画像の用にサイドもクランプしておくといいです。

次回は出っ張った埋め木の処理から始めたいと思います。

ばんば

サウンドハウス 
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