まず前回仕込んだトラスロッドがちゃんと機能するかを確認します↓
トラスロッドをある程度締めた状態でスケールを指板に当てた時に直線ではなく一部に隙間がでていればネックが逆ぞり方向に動いている事になり、トラスロッドが正常に機能している事を意味します。
トラスロッドの効きが確認出来たら指板サイドに合わせてネック(マホガニー部)を削っていきます↓
おおまかには豆平鉋、ヘッド付近やジョイント付近などはノミなどで。
次に指板のR加工です↓
マーチンの指板Rは主に16(約406mm)もしくは14(約356mm)インチです。僕は16インチで仕上げたいので16インチのRサンディングブロックで指板を削っていきます。
加工後↓
専用ゲージでカーブの確認と指板全体に直線の崩れがないかを確認し問題がなければOK。
次は指板エンド部を鉄ヤスリなどで少しだけ丸めておきます↓
この部分は市販品では角を残したままのものもありますし逆に丸めてあるものもあります。個人的には丸めてある方が高級感がある様に思えるので丸めていきます。
こちらがエンド部の角を丸めた画像です↓
次はヒール部に装飾板(ヒールキャップ)を接着します↓
素材はヘッドの突板に使用したマダガスカルローズを使用しています。素材は実際のヒールサイズよりもほんの少し大きめに加工し接着をします。
接着が完了したら鉄ヤスリなどでヒール部とぴったりになるように削ります↓
加工後↓
次にネックグリップ部の加工↓
先に1フレット付近と9~10フレット付近の厚みを仕上げておきます。加工は小刀もしくは南京鉋などを使用します。
ちなみに僕の場合厚みは1フレット付近が22.0mm、9~10フレット付近を24.0mmにしました。(ほんのり太めな感じです)
上記加工が完了したら間(中央)を豆平鉋などで削り直線を出します↓
豆平鉋はヒール部に当たらないよう少し斜めに傾けた状態で加工すると楽です。
※直線を確認しつつ各部の厚みもノギスなどでこまめにチェックしながら加工します。
厚み出しが終わったらグリップ加工(仕上げ)を行います↓
今回はエレキギター製作時に使用していたようなグリップ形状の目安になるテンプレートは使用しません。手の感触を頼りに加工します。
加工後↓
最終的には型取りゲージで削った形状がどうなっているか確認をしています。
※刃物の加工傷などは木地調整時に消します。
グリップの仕上げ後はナットを取り付けておきます↓
次はフレット打ち↓
Fret Buckをボディにセットしてフレットを打っていきます。
Fret Buck自体に興味ある方は下記販売サイトを参考にして下さい。
ちなみにFret Buckは指板下を内部からガッチリと下支えしてくれるのでフレットを打ちこむ時に「打撃でトップ板を傷めたり(割れたり)しないか?」という不安感がなく思う存分フレット打ちに集中できます。
10フレットまではハンマーによる手打ちでフレットを打っています↓
全て手打ちでも良いのですが今回は9フレットから1フレットまではハンドプレスで打ち込んでいきます↓
ハンドプレスの詳細は下記を参考にして下さい。
フレットを全て打ったら余分なサイドをカットし鉄ヤスリで仕上げます↓
フレット打ち完了↓
次にフレットサイドの隙間をパテ埋めします↓
指板がエボニーなのでパテは黒く着色したウッドパテを使用しています。
パテ埋め後↓
パテが乾燥したら余分なパテは研磨して取り除いています。
最後に指板の角を少し丸めておきます↓
鉄ヤスリで荒加工後に紙やすりで滑らかにしています。
加工後↓
次は全体の木地調整を行います↓
紙やすりの番手は150番~600番まで徐々に上げながら研磨します。
バック板はラウンドしているので木地調整時には形状が崩れないよう注意しながら研磨していきます。(トップ板もラウンドさせている場合は同様)
木地調整完了後↓
木地調整が完了したらブリッジの位置決めをします↓
まずスケールラインをボディ側に記入します。(後で消しゴムで簡単に消せるぐらいの濃さで書いておきます)
スケールラインを記入したらブリッジを当てがいながら位置を確認します。位置決めの目安はスケールライン(赤線)と1弦のサドル先端が同列になるぐらいが一般的です。
位置が決まったらブリッジの外周をボディ側に薄く罫書きます。
次にブリッジ位置に貼るマスキングテープを用意します(ブリッジ接着面に塗装を乗せない為)↓
カッティングマットなどにマスキングテープを貼りその上にブリッジを置いて外周を切り抜きます。
切り抜いたマスキングはさらに外周を0.5mm~1mm位小さく切り抜きます↓
マスキングテープの切り抜きが完了したら先ほど罫書いたブリッジ位置を目安にボディへ貼ります↓
貼り終わったら罫書いた線は綺麗に消しておきます。
次に指板面もマスキングテープで保護しておきます↓
指板のマスキングが終わったらサウンドホール内に塗装が回り込まないようにマスキングをします↓
マスキングの方法としてまず画像の用な一般的な風船をサウンドホール内部で膨らませます。
風船の膨らませ具合は下記画像を参考にして下さい。
風船がサウンドホール内に収まったらサウンドホールよりも少し大きめの厚紙を用意します↓
僕は丸くカットしたダンボールの切れ端を使用しています。
厚紙を画像の用にサウンドホール内に収めればマスキングの完了です↓
風船の反発で厚紙が内側から押されサウンドホールを塞ぐというのがこの方法になります。
次回は塗装です。
ばんば