上記工具フレットセッターはフレットの僅かな浮きを直す時に重宝する工具です。
具体的な使用例を挙げてみます。
例えば「1弦の5フレットのみ」がビリつくようになったギターの場合の話(他のフレットは全く問題ない状態)。
この場合は5フレットの次のフレット、つまり6フレットが怪しむべき箇所です。
まず6フレットを目視(又はスケールを活用)して何故高いのか原因を探ります。もし6フレットが「周辺のフレットと比べ明らかに浮いている」のならばフレットセッターの出番です。
「1弦の通り道を意識しながら」6フレットをフレットセッター&ハンマーで叩きます。フレットセッターはフレット側に傷が付きにくい構造ですが心配であればフレットに何重かのマスキングテープを貼ってから行います。
底面はR形状になっているのでフレットへ力が伝わり易くなっています↓
保護する場合↓
これでフレット浮きが無くなればビリつきは軽減されるはずです。全く軽減されない場合はフレットのすりあわせを検討した方が良いです。
ちなみにフレットセッターを使用してもフレット浮きが直らない場合もあります。この場合は例を挙げるとすれば「フレット溝が少し緩くなっている」か、もしくは「製造時からフレット打ちに問題があるネック」の場合です。
このような場合はフレットセッターではどうしようもないので一度フレットを抜いてからの打ち直し、場合によってはその後すりあわせもした方が良いでしょう。

僕の経験上「フレットセッターが役立つ確率が高い」場面は「経年で自然的にフレットが浮いてきた場合」です。経年でフレットが浮く理由は使用具合や保管状況などで様々あるかと思いますがこの場合はフレット溝がまだ生きている(フレットへの喰いつきが良い)可能性が高いので試してみる価値があります。
※指板に保湿オイル(もしくは指板潤滑スプレー)などを長年塗り込み過ぎた事が原因でフレット浮きが起きている場合はフレット溝が柔らかく弱っているのでフレットセッターを使用しても効果がない事があります。
ばんば