シングルコイルは「Tone Kraft」、ハムバッカーは「Antique Electronic Supply」から購入したキットを使用しSSHのピックアップセットを製作していきます↓
ハムバッカーのポールピース部は52mmピッチになっているのでフェンダー系ギターの弦ピッチとの相性も良いです(いわゆるFスペース、トレムバッカー仕様)。
ワイヤーは全てヘヴィフォームバーを使用していきます↓
フロントシングルは左から時計周りになる様にワイヤーをハトメに数回くぐらせて固定。
※巻き方向はこの限りではありません。
センターはフロントに対して逆回りになる様ハトメに固定↓
※巻き方向はこの限りではありません。
リアのハムバッカーは各ボビン反時計回り(同方向)で巻きます。固定するハトメなどはないので裏側にマスキングで巻き始めを固定しておきます↓
※ちなみにハムバッカーは片側のコイルを異なる巻き方向(逆方向)にするパターンもあります(いわゆる逆磁極&逆巻き仕様)。勘違いしている方もいるかもしれませんが「逆磁極&逆巻き仕様でないとハムキャンセル効果が得られない」という訳ではありません(重要なのは「逆磁極仕様」である事)。巻き方向に関してだけ言えば各ボビンが「同方向巻き」でも繋ぎ合わせるワイヤーを正しく組み合わせれば同様のハムキャンセル効果はあるので特に問題はありません。
巻き完了後↓
フロントは約8000ターン(正確には8001)。
センターは8100ターン。
ハムバッカーは1ボビンあたり5000ターンにしました。
巻いたワイヤーの先には各種配線材をハンダ付けし、その後にポッティング(ロウ漬け)を行います↓
ポッティングはロウを湯煎して溶かした真空容器の中に各ピックアップを投入し、蓋をして真空状態にしてから数十分から1時間前後待ちます。
ポッティングに使用している道具や材料は以前の下記記事を参考にしてみて下さい。
ある程度ロウが浸透したら容器から取り出しウエスなどで余分なロウを拭き取っておきます↓
次にマグネットの着磁作業↓
シングルコイルはポールピースがマグネット(アルニコV)になっているタイプなのでピックアップごと着磁マグネット(ネオジウム)を取り付けたバイスの間をくぐらせます。
フロントはポールピース上面がS極(Sトップ)
センターは逆磁極にするので上面がN極(Nトップ)↓
ハムバッカーはバーマグネット自体を着磁↓
着磁を終えたらシングルコイルは完成です。残りのハムバッカーの配線と組み込みを行います↓
ハムバッカーの各ボビンのワイヤー部はテープを巻き保護しておきます(紙テープもしくはアセテートテープを使用)。
出力線は4芯シールド線を使用します↓
ハムバッカーの場合は各ワイヤーの繋ぎ方を間違えると単体で使用した時にスカスカな音しか出ない事があります(ハムバッカー単体で逆位相状態など)。
また他のメーカーのピックアップと組み合わせた時にもスカスカな音になったりノイズが増えてしまったりなどのトラブルになる事があるのでヴィンテージ仕様にこだわりがない場合は出力線はなるべく単芯シールド線よりも4芯シールド線にしておく事を個人的にはおすすめします。4芯シールドなら先端の線の繋ぎ変えでトラブルの対処ができます。
トラブルだけではなく単純に配線のバリエーションにも優れています(タップ、パラレル配線など)。
組み込み後↓
組み込んだら出力線と各ボビンからでているワイヤーを繋ぎます。配線の色分けはダンカンパターン、ディマジオパターンなどご自由に。
繋ぎ合わせた線を良い感じに収めながらグルっと保護テープを巻いたらハムバッカーの完成です↓
ちなみに今回は行っていませんがこの状態からポッティングをもう一回行う場合もあります。なぜならベースプレートに組み込んだ各金属パーツが僅かに共鳴しハウリングを起こす事があるからです(P.Uカバーを付けた際も同様)。あと各ボビンをベースプレートに固定するネジは必ずタイトに絞めておきましょう(これもハウリング対策です)。
これでSSHのピックアップセットの製作は終わりです↓
抵抗値はフロント6.15k前後、センター6.2k前後、リア8k前後となりました。
※計測時の室温が高めだったので参考程度に
今回の作業動画はコチラ↓
ばんば