ピックアップの抵抗値が公表値と違うのは当たり前。不良品ではありません。正しい知識を。

ギター関係の雑談

 

ピックアップは温度によって抵抗値がコロコロ変わる物

 

僕がピックアップを製作している記事では直流抵抗値は上下する事を説明した事があるかと思います。改めて少し掘り下げて説明しておきます。

 

まず覚えておきたいのは以下の事↓

 

・ピックアップの抵抗値は常に公表値(メーカーの仕様値)に対して高かったり、低かったりを行ったり来たりしています(計測時の室温変化で)。理由はピックアップに使用されているワイヤー(銅線のコイル)が温度の影響を受ける為。

・大手メーカー品は基本的に室温20℃前後で計測した直流抵抗値を仕様値として公表していると考えておくと良いかと思います。※個人ブランドなどは当てはまらない場合もあると思います。

・公表値(室温20℃)に対して例えば室温10℃~30℃での計測時「±5%」前後での上下は正常

・室温の影響とは別に製造時の個体差で抵抗値が違う事もあります(ピックアップワイヤーの巻き付けテンションの違いやボビン、マグネットの軽微な個体差)。

・テスター自体の計測精度が低い場合公表値とは違う数値が出てしまう。

 

例としてメーカー公表抵抗値6kのピックアップを用意し実験してみます(温度の影響について)

 

まずは室温の確認↓

およそ20℃。この空間に計測したいピックアップをしばらく置いておきます。

 

ピックアップが室温になれたらテスターで計測↓

結果は5.97kΩだったのでほぼ公表値通りと言えます。

 

続いて温度が高い場合の実験↓

室温を上げるのは時間が掛かるので今回はドライヤーでピックアップ自体を軽く温めます。

※今回どうなっても良いピックアップを使用しています。同じ事をしてピックアップが破損しても責任は負えません。

 

ピックアップがほんのりぬるい感じになったところで計測↓

6.25k。僕の経緯上公表値6kぐらいのピックアップが温度上昇で6.25k位になるのは室温30℃前後時に計測すると起こりえると思います。

 

続いて温度が低い場合↓

大分強引な方法ですがピックアップを冷凍庫にしばらく入れ温度を下げてからの計測(もちろんマネはしないでください)。

5.42k。ここまでの数値の下がりは普通の生活環境での室温ではあまりないかと思います(室温0℃以下だったらなると思います)。

 

以上が実験の結果です。

 

重要なのはこれだけ公表値とかけ離れた数値が出ても異常(不良品)ではないという事です。計測環境の違いによるただの現象にすぎません。

 

とある楽器系記事でピックアップの誤差は0.2~0.3kあると思って下さい的な事が書かれていました。ヴィンテージ系のシングルコイルとかであればそう言えない事もないですが出力が高めのピックアップだと0.2~0.3kが誤差というのには該当しません。

 

例えばですがセイモアダンカンのSH-4 JB(ハムバッカー)の公表抵抗値が「16.4k」となっていますが、これを購入しテスターで計測したら「15.6k」だった。

もしこの場合室温10℃前後での計測だったとしたら全く問題ありません。ありえる数値です。逆に「17.2k」と公表値より高く数値が出てもそれもまた問題ありません。冒頭で言った「公表値(室温20℃)に対して例えば室温10℃~30℃での計測時「±5%」前後内での上下は正常」に当てはまります。

上記環境下(室温が低い、高い)で出た数値を購入店に「異常だ、不良だ」とクレームを言うのは控えましょう。その数値はただ単に低い時もしくは高い時に「たまたま目にしているだけの数値です」。

抵抗値は常にコロコロ変わりますがそのピックアップのサウンドや本質、仕様が極端にコロコロ変わっている訳ではありません。公表値と同じ室温になれば概ね数値は近似値になるはずです(ならない場合は温度以外の要因あり)。

 

とはいえ常に20℃前後で抵抗値を計測できる訳ではありませんね(エアコンを使用すればできますが….)。僕もピックアップを製作している時にわざわざ20℃で計測していません(なるべく努力はしますが)。

そんな時には計算式を使用して計測した数値を20℃時の抵抗値へ補正してある程度の目安値を出します。

R(20℃) =(234.5+20℃)÷(234.5+計測した時の室温)× R(実際の計測値) (Ω)

上記の式は下記サイトに記載されています。また下記サイト内に簡単な入力で20℃時の抵抗値を算出するシミュレーションもありますので是非確認して見て下さい↓

日本ユニバーサル電気:コイル設計 抵抗値計算機:20℃の抵抗値に換算

 

以上です。

ばんば

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